中村 匠

オルゴール修復師

精密機器メーカーの技術職を経て、時計・オルゴール修復の道へ。スイスの工房で1年間研修。現在は個人工房で年間100台以上のオルゴール修理を手がける。

中村 匠の記事 (6)

修理

オルゴールのゼンマイが巻けないと聞くと故障を疑いがちですが、実際には満巻きで正常に止まっているだけのこともあります。まずはそこを切り分け、重い、空回りする、巻き戻る、逆回しのあとから動かないといった症状を見分けるだけで、対処の方向はほぼ決まります。

仕組み

オルゴールを選ぶとき、18弁や72弁の数字だけで判断すると肝心な違いを見落とします。まず押さえたいのは、音をどう鳴らすかという方式で、シリンダー式ディスク式カード式の3つに分かれる点です。

仕組み

弁数とは、オルゴールの櫛歯(発音体)が何本あるかを示す数で、18弁なら櫛歯が18本という意味です。修理の現場で同じ曲を聴き比べると、18弁と30弁では和音の入り方や伴奏の厚みが変わることがあり、筆者の経験による所感として、その差が選び方に影響すると感じることがあります。

仕組み

ディスクオルゴールとは、金属ディスク上の成形された突起がスターホイールを介して櫛歯を弾き、音楽を奏でる方式のオルゴールです。円筒のピンが櫛歯を直接はじくシリンダー式とはここが決定的に異なり、そのぶん曲の交換ができ、響きも力強い方向へ伸びます。

仕組み

工房で同じ18弁のムーブメントを木箱とアクリルケースに載せ替えて鳴らすと、弾いている櫛歯は同じなのに、前者は余韻がふくらみ、後者は輪郭が先に立ちます。この差を見ると、オルゴールの音色は「どの櫛歯がどう鳴るか」と「箱がどう響かせるか」の二段階で決まることがよくわかります。

仕組み

スイスが機械式音楽の中心地になった理由は、1796年に時計職人アントワーヌ・ファーブルが生んだオルゴールの起源と、時計産業が育てた精密加工の土壌をたどると見えてきます。